過去のセミナー
21世紀型ビジネスモデルとしてのCSR経営
セミナー開催に伴うアンケート結果
本アンケート調査は、平成22年3月10日の幣法人主催で実施したCSRセミナー「21世紀型ビジネスモデルとしてのCSR経営」にお申込みをされアンケートにご回答をいただいた方のデータを基に、各企業の取組状況について整理をしたものです。
- 実施時期:2010年1月~3月
- 実施対象者:新日本有限責任監査法人主催セミナー「21世紀型ビジネスモデルとしてのCSR経営」へのお申込者
- 有効回答数:1,678名
- 集計:2010年8月現在
2010「21世紀型ビジネスモデルとしてのCSR経営」 事前アンケート結果(PDF: 774KB)
2010年3月10日、メルパルク東京で新日本有限責任監査法人主催セミナー「21世紀型ビジネスモデルとしてのCSR経営」を開催。本CSRセミナーは、今年で7回目を迎え、CSR概念が経済社会に根付いてきた一方で、CSRの概念そのものも大きく変化しており、各企業もCSRへの取り組み方法を模索し続けています。本セミナーは、改めてCSRについて、グローバルな視点から国内問題を見つめ直すことで、我が国の企業経営において如何にCSRを推進していくべきかを論じました。1600名を超えるお申し込みを頂くなど、関心の高さを伺うことができました。
本セミナー開会に際し、弊法人 加藤義孝理事長から
「一昨年の金融危機以来、ビジネス環境が激変し、新興国が大国に変わる時代になった。このような世界の中で、日本企業が進むべき方向性、また、その位置づけを考えていかなければならない。」と挨拶がなされ、セミナーが始まりました。
基調講演 「世界の構造転換と日本の進路」
次に基調講演として、財団法人日本総合研究所 寺島会長が登壇。
今後の世界経済の見通しとして、GDPと金融資産の成長率比較や、石油価格と為替相場の変動から、「世界全体のGDPは約3%成長に戻るが、その成長要因については楽観視してはならない」との考えを示されました。また、日本経済の現状についても言及し、グローバル化の影響で国内の労働が平準化され、また、低所得者層が労働人口の4割近くを占め、消費の拡大が困難であると指摘。最後に、日本経済の発展には、中国の経済成長の背景にあるアジアでのネットワーク型発展を目指す必要があるとし、経済発展の鍵は明確なビジョンの下でガバナンスを発揮して、多様化、複雑化した市場に対する発言力を保持することだと指摘しました。
基調講演 「新しい資本主義と民間による途上国支援」
次にDEFTA PARTNERSグループ 原会長が登壇。
コンピューター・IT産業に変わる次世代基幹産業を金融業に求め、「会社は株主のもの」との考え方に基づき、「株主利益の最大化」や「短期的利益の追求」を目的とする株主資本主義が、今日の経済不況の原因であったと指摘。そこで、新しい産業を創造するためには「新しい技術」と「公益資本主義の考え方」が必要であるとし、それにもとづいた発展途上国への取組みについて言及しました。また、原氏が主張する公益資本主義とは「企業が株主だけでなく、様々なステークホルダーの利益と長期的な成長を目的とし、事業を通じて社会に貢献する資本主義」であり、その実現には、企業の長期的成長の視点に立った法規制、税制、金融制度、証券市場等の整備が望まれるとされ、今後は、「公益資本主義における金融」や「資本主義がいかにあるべきか」を理論化し、世界にその理解を求めていくとともに、日本が公益資本主義経済を創り上げることを期待したいと締めくくりました。
講演 「歴史的経済危機、世界的産業構造変換の時、何のためにCSRを考えるのか―利益向上・リスク低減の原点」
次に株式会社セブン&アイ・ホールディングス 稲岡常務執行役員が登壇。
いまだにCSRの概念や具体的な取り組みに迷っている企業が多くあることを指摘。ISOでは「CSR」ではなく「SR」として企業のみならず、あらゆる組織体を対象とし、また、SRをガバナンスとして捉える考え方を用いており、規格化によって概念が明確になったことを説明されました。欧州のCSRは中東の難民が欧州に広がったことを契機に「雇用問題」としてCSR取組みを行うようになったと持論を展開しつつ、日本のCSRについては、「個人よりも社会を優先する考え方」としての「武士道精神」や「儒教精神」が及ぼしている日本人の企業精神が、現代では個人の存在が社会よりも大きくなっており、このことが今後のCSR取組みに深く影響を及ぼしていくという見解を示されました。
パネルディスカッション「21世紀型ビジネスモデルを探る」
休憩後、パネルディスカッションを開催しました。
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パネリスト: |
新日本有限責任監査法人
CSR担当パートナー公認会計士
大久保和孝 |
DEFTA PARTNERSグループ
会長
原丈人氏 |
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株式会社セブン&アイ・ホールディングス
常務執行役員
稲岡稔氏 |
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株式会社インテグレックス
代表取締役社長
秋山をね氏 |
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独立行政法人経済産業研究所
コンサルティングフェロー
藤井敏彦氏 |
CSRの思考から実践へ
大久保
今後、必要なことはCSRの知識習得ではなく、実践ではないだろうか。
藤井氏
CSRとは「将来の規範を考え、実践すること」である。日本企業は「海外からのコンセプトを身の丈にあったものにしてしまうこと」や、「日本の特殊性と普遍性」ということについて考えなければならない。
秋山氏
この数年でCSRが大きく変化し、企業は様々なステークホルダーに配慮し、競争力や持続性へとつなげてきた。また、CSRの「S」はSustainability(持続可能性)とし、時間軸が加わり、「未来の社会にとって企業がどうあるべきなのか」ということに「時間的期限」という観点が加わった。「R」は理想やあるべき姿を尊重する Respect と捉える。「C」はCommunityとし、企業は無限の広がりに目を向けていかないとならない。つまり、CSRは「未来の社会の最適化」ということである。
公益資本主義の企業像
大久保
公益資本主義を行っている企業の姿とは、どのようなものなのか。
原氏
ウォール・ストリートの一番の関心はROEであるが、これは変遷しゆくものである。米企業のトップと一般社員の年収の差は約400倍であるが、日本では10倍程度であるが、公益資本主義では、①年収差が10~30倍であること、②有事に耐えうる内部留保を保持していること、③日々改善をおこなうということである。米国理論を用いて公益資本主義を納得させることが望まれる。
秋山氏
SRIは長期的な視点で行っているが、日本の機関投資家は短期的な評価を重視するため、これに対する枠組みを作る必要性も感じている。
稲岡氏
企業が公益資本主義として行えることは数多くある。今の経済状況を打開するには①ハイパーインフレ、②デフォルト宣言、③国債を減らすことなどが考えられるが、企業から政府に働きかけていくこともできる。
大久保
政策と公益資本主義の兼ね合いについて、政策論的な観点でお話いただきたい。
藤井氏
日本では、欧米での前例があるものを取り入れる傾向があるが、政府や企業がまったく新しいものの導入に応じることが重要になる。
受け入れられる新たな資本主義
大久保
どのように公益資本主義を実践し、今の企業の閉塞感を打破できるのか。
原氏
今後、日本の経済成長には発展途上国への進出が求められるが、その際、公益資本主義の考え方を持ち込むことである。バングラデッシュではそのアプローチが喜ばれている。
稲岡氏
米国では金融市場が失敗したところであり、公益資本主義が受け入れられやすいのではないか。
藤井氏
欧米よりも優れた経営理論は、今、経済成長段階にあるアジアで受け入れられやすいのではないか。また、新たなグローバル規範になれるとも考えられる。
公益資本主義の浸透には
大久保
公益資本主義が企業に浸透するには、経営者の意識改革が必要となるのではないか。
秋山氏
日本企業はほぼ公益資本主義にあてはまると考えられるが、ビジネスに結びついていない。「公益資本主義はすぐに大きな利益を望むことはできなくとも、ビジネスに結びつく」という考え方を浸透させる必要がある。
原氏
日本で中長期の株式市場を創設することが望まれる。また、発展途上国で日本の技術を使用し、彼らの生活水準を向上させながら、ビジネスを行っていくことである。
21世紀のビジネスモデルとは
大久保
本日の様々なキーワードを実践していくことが重要である。それでは、最後に一言ずついただきたい。
稲岡氏
日本のCEOに対する報酬は低すぎる。役員は命を削る仕事であり、今の水準の数倍に上げ、経営者にパワーを与えて、会社収益を増加させ、法人税収を上げることが求められる。
秋山氏
公益資本主義を広めることは国にもプラスになるが、「どのようなビジネスにつなげていくか」というデザインを持たなければならない。
藤井氏
今、「当然だ」と思っていることでも、3年後には「当然ではない」ということになる。また、この逆もしかりであることを認識しておく必要がある。
原氏
金融は縁の下の力持ちの存在であり、新しい基幹産業にかけるしかない。社会にも企業にもプラスになる制度を築くことが公益資本主義である。日本がOECDで最も税率の低い国でありながらも、社会が繁栄する国にしていきたい。
講演 「CSR人材の育成のあり方について」
本セミナー最後の講演として、弊法人 大久保パートナーが登壇。
現在の日本企業の多くは法令規則等の遵守、社内の仕組みづくりに奔走した結果、組織全体が思考停止状態に陥り、構成員自らが主体的な行動を取れなくなりつつある。劇的に変化する環境下では、ぶれない信念と環境変化に対してセンシティビティを高く持ったリーダー人材の育成が不可欠であることを力説しました。とくに、国家戦略としてCSRを掲げる中国や、人材育成を最重要課題とする韓国に言及し、グローバルリスクが瞬く間に日本企業リスクになっている現状では、CSRの実践こそが、日本企業がアジア市場でリーダーシップをとっていく唯一の鍵をにぎっていることを指摘しました。
古典に立ち返りぶれない信念を確立しつつ、世界環境の急激な変化に如何に適応していくことができるのか。これまでの価値観を根本から見直し、新しい時代の新しい価値観による新しい事業領域に対応できる人材育成こそが、CSRへの取り組みであると締めくくりました。
閉会のご挨拶として、弊法人小島秀雄副理事長から、「今後は経営課題としてCSRの観点から見直すことが急務な課題として求められている。その際に、我われ新日本監査法人が企業の皆様の取り組みに何らかのお役に立てれば幸いである」と締めくくり、長きにわたるセミナーを閉会いたしました。
最後まで多くの参加者にご参加いただきましたことを厚く御礼を申し上げるとともに、このセミナーが皆様の今後の企業経営に何らかのお役に立てることを祈念しております。